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最高裁判所第二小法廷 昭和29年(あ)1484号 判決 1954年7月16日

主文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

被告人の上告趣意は、本件は偶発的犯罪であるのにその点につき十分な審理を尽していないというのであって、結局犯情の酌量を得て量刑を軽くして貰いたいとの主張と認められる。次に弁護人の上告趣意は自首に関する判例違反を主張するけれども、原審は本件被告人が職務質問に際し種々弁解した後結局本件の犯行を自供したのであるから、自首とはいえないと判断したものであって、その後段の犯罪さえ発覚すれば犯人の誰であるかが発覚していなくても自首はあり得ないとの判示部分は単なる余論であって、所論引用の当裁判所の判例と相反する判断であるとしても判決に影響を及ぼさないことが明らかである。その他は量刑不当と事実誤認の主張であって、以上何れも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べても本件に同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四〇八条一八一条により主文のとおり判決する。

この判決は、裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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